食品の鮮度保持を通じ、地域活性化を目指します

佐藤和恵

青果物・肉・一部魚介類などの鮮度をより長く保持するという装置

地域活性学会に加入させていただいて今年で7年になります。学会を通じて、地方やそこに住む人々との良いご縁をたくさんいただきました。地方の魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたいと思う気持ちが、年々強くなるばかりです。現在、私は株式会社スーリヤという会社の取締役として活動しております。弊社は、電気製品の開発を得意としている会社で蓄電池・バッテリー等を製造しております。その中で、今一番注目されているのが鮮度保持装置【inazuma】という特許取得製品になります。こちらの装置は、過冷却現象を利用した鮮度保持システムになります。保管庫内に高電圧の電場状態を作り出し、水分子同士の結びつきを抑制する事で「水が凍るはずの0℃(凝固点)以下になっても凍らない」過冷却状態を作り上げ、青果物・肉・一部魚介類などの鮮度をより長く保持するという装置です。技術的には、前からあった技術を応用し、従来製品のおよそ1/3コストダウン化に成功しました。

農水省実証試験に参加

こちらの【inazuma】がこの度、農水省における【令和3年度海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業】に採択されました。通常、空輸便で運んでいた食材を約2~3週間の時間をかけ、海路で輸出しても鮮度が保たれているか?を確認する実証実験になります。ちょうど、10月27日に富山港からドバイに向けて出港しました。食材は、白エビ・バイ貝・ます寿司・とらふぐ刺し・高級明太子・生シイタケ・乾燥シイタケ鶏卵・ハラール肉・青森りんご・柿・サツマイモなどを輸送しました。また、肉においては熟成が促進されるという第三者機関における、実験データも取得できた事もあり、九州の自治体様においては、ふるさと納税の返礼品において熟成肉がとても人気という事で、熟成場所を新設する際、弊社の製品を導入いただくというお話が進んでおります。尚、マグロにおいては冷蔵の状態で保管したマグロが、4か月後も食べられる状態で保存できる事が、社内実験にて証明された為、岩手大学様との共同研究も今月より進めてまいります。鮮度保持においてお悩みの農家様・漁業関係者様や、うま味をUPさせ付加価値をつけたい。肉加工業者様等や地域の名産品をもっとPRしたい自治体様との連携をこれから更に強化し、今まで鮮度保持における時間が問題で、なかなか都市部に流通が出回らなかった地方の名産品を弊社の技術を通じ、もっと多くの方に知っていただき、地方活性化のお役に立てればと考えております。

農水省海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業

https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/yusyutu_kokusai/result_210903_070-1.html

 

海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業

4か月間冷蔵で保管したマグロとタコ

 

Writer:佐藤和恵