地域工学研究助成のご紹介(公益財団法人前田記念工学振興財団)(那須清吾)

本財団では、新たに「地域工学研究」分野を新設して研究助成を行うことになりました。私が分野担当を頼まれたのですが、財団から地域活性学会での紹介をお願いされたので、JK記事に掲載します。ちなみに、私以外の委員の多くは私が東大の学生時代に教えて頂いた教員の方々で、肩身が狭いです。「技術」の定義が論点となると考えます。本研究助成は1委員長、4副委員長で構成された委員会で審議します。私は、「地域工学研究」分野担当の副委員長なのでその点は配慮することを審査基準に考えたいと思います。つまり、技術とは幅広く「社会技術」ととらえて、社会科学における技術も含めるのかと考えます。何れにしても、地域活性学会からの応募を期待しています(那須清吾)。

前田記念工学振興財団の概要

本財団の設立代表者故前田又兵衞(明治42年10月25日、福井県下宇坂村小和清水に出生、平成5年5月9日、83歳で逝去)は、昭和21年11月、敗戦の混乱期に、前田建設工業株式会社(麹町区富士見町)を設立、社長として38年余、会長として6年余、社業一筋に打ち込まれ、平成3年6月には名誉会長に就任された。この間44年に亙る経営の第一線から退くにあたり、社会に報いる意味でこれまで仕事の上でかかわりを持ってきた工学分野の研究者を助成し、これを通じて、我が国科学技術の発展と人類福祉への貢献を念願し、私財2億5000万円、自己保有の前田建設工業(株)株式100万株及び一口坂中央ビル5階部分を投じ、この趣旨に賛同した前田建設工業(株)からの寄付1億5000万円を加え、平成5年2月2日、当財団を設立しました。

地域工学研究助成の募集

趣旨


現在、日本は人口減少や少子高齢化、産業空洞化など様々な社会課題に直面しています。その問題解決や課題解決に向けた様々な取組の中で、大学などの研究機関が生み出す研究開発成果を移転し、地域のイノベーションの創出を促進するという活動と共に、新たな研究のシードを課題を抱える地域の中で発見・顕在化し、産学官連携のなかで横断的に取り組んでいくことが望まれています。我が国の健全な国土の発展には、各地域の個性を活かしながら持続的かつ横断的な地域創成が不可欠であると考えます。そこで、地域の課題を工学の知見によって解決する実践的工学研究を促進するともに、孤立しがちな各地域を緩やかに結びつける横断的なプラットフォームを醸成するために、「地域工学」と名付けた新しい分野を当財団の研究助成事業に創設して、研究資金を助成します。なお、本分野においては、地域再生を主眼とした工学・技術の研究開発を支援する「研究開発」コースと、工学・技術を活用した地域再生の実践的取組みを支援する「研究実装」コースの2種類を用意しています。https://www.maedakksz.or.jp/gaiyou/

選考


我が国の大学、その他研究機関等に勤務し(雇用関係があり)、研究活動に従事する研究者、及び中学校及び高等学校の教員を対象に募集します。本分野の研究では地域に根ざした実践的工学研究のため、地域住民や学生、ボランティアを始めとした地域や自治体・研究機関、各種協同組合や社団(例:町内会、自治会、地域おこし協力隊、NPO)等が参画されている研究活動を推奨しており、助成期間中に地域でのワークショップの開催をその研究計画に含めてください。応募については、当財団におかれている選考委員会において主題の設定、研究方法について、発想が独創的であり、研究内容の今後の展開が期待されること。研究計画が十分具体的に検討されており、その実現性及び成果について期待がもてること。その研究への助成が、当該主題に関する研究、又は研究体制の今後の発展の契機として貢献出来る可能性があること。当財団の助成対象としてふさわしいものであること。などの視点から、2段階審査を行い、選考委員会において予算を勘案しながら候補者を選定し、これを受けて理事会が助成対象者を決定しています。https://www.maedakksz.or.jp/regional/