2023年実務研究論文賞受賞者のご紹介

表彰式会場(兵庫県豊岡市)

【第一筆者】熊坂 仁美 法政大学大学院 政策創造学科 修士2年

このたびは論文賞受賞の栄誉をいただき誠にありがとうございます。私ははるか昔に大学を卒業して以来、アカデミックとは無縁の生活で、直近10年は故郷福島の復興に情報発信の分野で関与して参りましたが、昨年思い立って社会人大学院に入学しました。昨年9月に本論文責任筆者である吉田 秀政氏のお誘いを受け、業務として取り組んでいた「ふくしまピーチホリデイ」事業について、ご指導いただきながら研究論文の執筆をしました。書くことを業としている身ですが、初めての論文はあまりに過酷で、締め切り間際に自律神経をやられ目眩で倒れるというアクシデントもありました。しかしこれがきっかけで「サーキュラーエコノミー」が自分の研究テーマとなり、3月には仕事をやめ、約3ヶ月フィンランドに長期滞在してフィールドワークを行いました。サーキュラーエコノミーは幅広いテーマですが、今回の論文のように、「地域づくり」という視点は海外ではほとんど見られない、日本らしいテーマです。特にフィンランドでも視察した生ごみのバイオガス発電は、エネルギー自立という点で地域貢献度が高く、研究の意義を感じます。今取り組んでいる修士論文は、行政、事業者、地域住民が共創する「地域におけるサーキュラーエコノミーエコシステム」についてです。今回の受賞を励みとして、卒業後も実務を行いつつ研究を続けていけたらと思っています。

2023年6月、フィンランド国立技術研究センター (VTT)にて、サーキュラーエコノミーチームリーダーのInka Orko(インカ・オルコ)氏と熊坂 仁美氏

【第一筆者】大川 朝子(株)昭文社ことりっぷ担当(法政大学大学院 修士修了)

旅行ガイドブックの会社に入社、編集・広報職を経て現在はメディアブランド「ことりっぷ」にて、旅好きな女性を地域に誘致する企画(自治体プロモーション)や旅行グッズ・服飾雑貨・お菓子など女性をターゲットとしたコラボ商品のディレクションをしております。旅好きな女性と地域をつなぐ仕事をさせていただく中で、観光の概念の変化、すなわち地域を訪れる目的やニーズの変化と地域側の体制の変化の必要性を感じ、これからの多様な移動者と地域の在り方・つながり方について方向性を見出したい、と2020年に大学院の門を叩きました。個人の研究テーマは移動者と地域住民の関係構築であり、修士論文では旅行者が地域を訪れた時どのような体験があると地域のファンになり移住につながるのか、「旅行者の地域愛着と移住意思に影響する住民との交流に関する研究」を過疎地でありながら移住者が増える神奈川県真鶴町を事例として書き上げ、2021年に地域活性学会全国大会でも発表させていただきました。現在は「移動者と地域社会の関係性分析」における共同研究に参画させていただいております。このたび初めての研究論文にて論文賞をいただいたことに大変恐縮しております。ひとえに吉田 秀政氏のご指導のおかげです。また個人研究において独り悩み苦しんでいた際、地域活性学会の論文講座を受講させていただき、何度かメールにて個人的にご指導いただいたことは今も感謝に堪えません。今回の受賞に恥じないよう、まずは個人研究の地域活性学会での査読通過を目指し、実務も研究も続けたいと思っております。

神奈川県真鶴町での海上フィールドワーク中の大川 朝子氏

【責任筆者】吉田 秀政  徳島大学 人と地域共創センター 准教授

研究論文「初挑戦」の社会人大学院生や研究生を、研究論文「初指導」の私が率いる「異色のチーム」ゆえ、査読付き論文の掲載に至れば「大成功」と捉えていただけに、このたびの受賞は、まさに僥倖でした。指導教授である小野浩幸先生(山形大学大学院理工学研究科)の日頃のご指導や、査読者の先生方の貴重なご助言に、心から御礼申し上げます。また、研究誌の発行に関わる皆様にも、感謝申し上げます。最後に、実務研究者としての「実務経験」を簡単に紹介します。共同研究や地域課題解決活動、オムニバス講師など、お気軽にお声がけください!

h-yoshida@tokushima-u.ac.jp

2023年6月、福島市で「組織レジリエンスと経営者の学び直しの関係性」に関する講演を行う吉田 秀政氏

平成23年5月、広島県有数の過疎地・安芸太田町の外郭団体の「常務理事」に38歳で就任し、約5年間活動。ありふれた素材や困りごとを都市部住民の体験価値に変える取組みが逆転の発想として注目され、報道多数あり。全国アワード受賞。平成28年5月、鹿児島県有数の過疎地・錦江町で「地方創生担当統括監」に就任し、約2年間活動。全国に先駆けた地域課題解決Dx(教育、小児・産婦人医療相談、農業)が注目され、報道多数あり。全国アワード受賞。平成30年5月、福島市の外郭団体を「風評払しょく」や地域イノベーションを担える「DMO」へと改革するため「最高戦略責任者」に就任し、約5年間活動。サーキュラーエコノミーエコシステム概念を導入した規格外果実による地域経済循環戦術「ふくしまピーチホリデイ」が、地域イノベーションの好例として注目され、報道多数あり。この間、公立大学法人高崎経済大学特命准教授や福島学院大学客員准教授を兼任。現在、山形大学大学院理工学研究科博士後期課程に在籍中(D3)。研究領域:マーケティング、組織レジリエンス、CSVマネジメント、観光地域づくり、地域経営等

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福島民報2023年9月6日