アメリカ横断ウルトラクイズを覚えていますか?

和栗隆史:語源ハンターとしてウェストミンスター宮殿で第11代サンドイッチ伯爵と(放送作家、一般社団法人全国寺社観光協会、大阪府立大学大学院経済学研究科)

知力・体力・時の運!

ご記憶の方、いらっしゃるでしょうか。このフレーズは、放送作家として最初に携わった日本テレビ『アメリカ横断ウルトラクイズ』の冒頭で、「ニューヨークに行きたいか!」と並んで使われた惹句です。地域活性学会の末席に加えていただいたのも、まさに時の運!

テレビマンとして地域の魅力発見

今改めて「地域活性」というキーワードで過去の仕事をフィルターにかけてみると、たとえば、日本テレビ『ズームイン!!あさ!』では、全国の系列各局に定期的にお邪魔して、地域の魅力を発見してそれをどうやって発信するかの企画コンサルティングを担当していました。その延長線上で、47都道府県の魅力を伝えようと企画発案したゴールデンタイムのスペシャル番組が、のちに読売テレビ『秘密のケンミンSHOW』につながります。けっこう近い世界にいたのかもしれません。おかげさまで番組のロケハンやロケで国内外をずいぶんと旅させてもらいました。また、言葉の語源を探る〝世界でただ一人の語源ハンター〟を自称して、こちらでも国内外のあちこちを旅してきました。こうした経験のなかで、日本の地方の疲弊や社会課題にも直面し、また逆に地方の潜在パワーや日本の底力に驚かされてもきました。

そうだ。大学行こう

そんなこんなで1980年代半ばから、情報番組や報道番組、バラエティーからドラマやアニメまで手当たり次第に番組企画と構成を手がけてきたわけですが、2011年の3.11東日本大震災で人生ガラッと大転回です。約1年仕事を離れてボランティア生活を送った後、「そうだ。大学行こう!」と2度目の大学生となり、一方でご縁があって大阪府立高校の公募校長を任期3年の契約で務めることに。そしてそのどちらも同時に卒業となった2017年春のタイミングで大学院(観光・地域創造専攻)に進学してマスターを修了、現在ドクターコースに在籍しています。

宿坊が地域コミュニティ活性化の拠点となりうるのではないか

研究テーマはおもに、近年次々と新たに誕生している「宿坊」と地域社会との関わりを探っています。校長を満期で退任した後にご縁のあった現職(一般社団法人全国寺社観光協会企画室長、雑誌/WEB『寺社Now』編集長)のネットワークも活かした研究活動となっています。関連して、2019年にスタートした観光庁の「寺泊」推進事業では担当の派遣専門家に任命され、研究調査の知見をもって現場に入り、目の前で今起きている新たな事象を最前線で目撃してそれをまた研究にフィードバックするという機会にも恵まれています。宿坊が、地域コミュニティ活性化の拠点となっている(なりうる)ことに気付いている方は、まだあまり多くはないようです。とかなんとか、もっともらしいことを言っていますが、本来であるならば論文を次から次へと書きまくって次につなげる使命を果たさなければならないところですが、コロナ禍や多忙を口実にして遅々として思うようには進んでいないのが現状です。

京都・仁和寺の宿坊にて朝食の一コマ

神宿る島!世界遺産・沖ノ島に上陸する前の禊ぎ風景

地域活性学会のビギナーにすぎませんが

そうした時期に地域活性学会と出会ったのは、まさに時の運。周縁部でうろちょろしてきただけの駆け出しのビギナーにすぎませんが、諸先生方をはじめ学会メンバーの皆さんの活動や論文などに学びながら、わずかばかりの〝知力〟と、還暦をまわって衰えつつある〝体力〟をなんとか維持して、〝時の運〟を活かしてクリエイティブ&イノベーティブに地域の活力を生み出すべく精進して参りたいと思います。ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い致します。

 

著書の書影(一部)