公務員が社会課題解決のためにできることはまだまだある

黒田哲夫

はじめまして。私は八尾市職員の黒田哲夫と申します。技術職として下水道事業や公営企業の経営戦略策定、道路・河川の整備計画や開発行政などの都市計画事業にも携わってきました。現在は地域行政部門にて、まちづくり協議会や自治連合会などの地縁団体を支援する職務に励んでおります。地域において無私の気持ちで地域活性化に取り組む住民の皆さんの生き方に心が動き、龍谷大学大学院政策学研究科で研究することを決意しました。大学院の指導教員より当学会をご紹介いただき、2021年から在籍しております。

地域を担う子育て世代が地域に参加する要因を知りたい

地域では、少子高齢化と貧困の現状が顕在化していることを肌で感じることができます。このままでは先人たちが培ってきた地域での人の繋がりが目に見えて希薄になっていく、そんな危機感を覚えました。私は地域住民、特に次の地域を担う子育て世代が地域に参加する要因を知りたいと思いました。共創のまちづくりに資する要因とは何か。リサーチクエスチョンとして、理論により設定された話し合いのワークショップを地域に実装し対話を生み出すことができれば、共創のまちづくりにつながる行動変容が起きると考えました。私は地域に入り、アクションリサーチ的に対話が生まれる様子を観察しました。エスノグラフィーにより対話の場面を切り取り、得られたテクストをSCATで分析し、活動理論により地域住民の脱構築を修士論文にまとめました。対話が生まれた地域では、「目的と手段がすり替わっている、確認しよう」「対話が足りない」などが口癖になりました。行事や活動後の反省会が開催されるようにもなりました。今後の研究課題は対話が生まれ活性化しつつある地域への次の一手です。

大学院に籍を置き研究を継続しています

現在は特別専攻生として大学院に籍を置き研究を継続しています。大学院にてファインドレイズの自主ゼミに社会人修士の同志と参加し、ファンドレイズを贈与という視点からのアプローチで地域活性化の提案にも取り組んでいます。将来的には地域活動を志ある寄附によって支えるコミュニティ財団の設立にもかかわりたいです。おおさか市町村職員研究センター・マッセOSAKAの「働き方を「選択」できる仕組みづくりを考える研究会」に研究員としても参加しております。コロナ禍により、リモートワークや時差出勤などの多様な働き方が社会全体に広まりましたが、自治体の現場ではコロナ禍以前に回帰する傾向にあります。副業も含めた多様な働き方が自治体職員のモチベーションアップに繋がり市民サービスの向上につながればと試行錯誤しています。

公務員が社会課題解決のためにできることはまだまだある

大学院で学び、公務員が社会課題解決のためにできることはまだまだあること気づきました。公務員が実務研究者として研究に身を置くことは社会貢献につながると確信しています。いずれは当学会にて研究発表ができるよう自己研鑽に励みます。皆さま、引き続きよろしくご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。

Writer:黒田哲夫