【優秀博士論文賞】「優秀博士論文賞」受賞によせて(今村智子)

今村表彰式

今村智子(金沢星稜大学)

知見を次世代の育成や地域活動に活かしたい

このたび、地域活性学会より「優秀博士論文賞」という大変栄誉ある賞を賜りました。私の論文を評価してくださった学会の皆さまに、厚く御礼申し上げます。大学院では私の論文はあまり評価されることはなく自信が持てずにいました。しかし、今回、学会から表彰を受けたことで、過去を振り返らず、前を向いて研究と教育に携わろうと気持ちを切り替えることができました。

博士論文はみなさんの協力があったから書けたもの

私は、市役所に勤めながら大学院に通いだしました。コロナへの対応、忙しい部署への異動、病気が重なり、入学から半年は、大学へ行けず、研究にも着手できませんでした。これではいけないと思い、辞職を選択し奨励費を受けながら通いました。私は、修士をもっていませんでしたが、仕事の経験で修士卒同等の資格があると認められ、博士課程に入りました。研究の仕方も分からない、論文の書き方も分からない、アカデミア業界内も分からない、そんな私に手を差し伸べてくれたのが、本学会のJKの斉藤さんと、論文サポートスクエアの永松先生でした。お二人には一生頭が上がりません。改めて感謝いたします。辞職後は、福井県立図書館に通って、研究や論文の書き方の本を読みあさりました。私の研究は、市役所の職員として関わってきた地域づくり団体についてです。アンケートの設問をどうにか作成して、団体のみなさんにお願いしようとした時、「もう部外者なのだ」と、しりごみして、なかなか電話できませんでした。矢環境緑化実行委員会の皆さんは、矢地区の寄り合いの前に時間を作ってくれ、集会場で、全員が私を待っていてくれました。その場で「元気か」「いつでも戻ってこい」「今村さんがやりたいことやればいい」と沢山はげましてくださって、元気をもらいました。九頭竜花桃回廊実行委員会の前事務局長の中村さんは、調査のために電話をすると即快諾してくれました。和泉地区は市街地から車で約一時間の距離。「研究は大変だろうからアンケートはまかせてくれ」そう言って事務局長の畑岸さんと協力し、全員のアンケートをきれいにファイルにまとめて近所まで持って来てくれました。和泉地区からいただいたアンケートには、地域づくりに対する熱いメッセージが書き込まれたものが多くありました。七間通りのまちづくり委員会の専務、大門屋さんは、七間通りのまちづくりに関する団体の長、みんなに声をかけ集めて下さりました。閉店後のお店で2時間にわたり、深い話し合いができました。このように私の論文は、みなさんの協力の賜物です。皆さんから頂いた御恩を忘れず、これからは、私ができるかたちで地域づくりを支えていきたいと思います。

矢で整備した里山のカタクリ 和泉地区に植樹した花桃