新増田リポートを読む(4)小田切徳美氏の反論

小田切徳美氏(明治大学)

時事通信(配信)

過疎対策に詳しい小田切徳美明治大教授は、「先行して頑張る地域が『何に取り組んだのか』ではなく『どう取り組んだのか』を横展開し、国は東京から地方への移住や関係人口の増加の音頭を取っていくべきだ。前向きな地域づくりが移住の増加や出生率向上につながってくる」と語った。

毎日新聞

農村の実態に詳しい小田切徳美明治大教授(地域マネジメント論)は「初めて増田リポートが出た10年前は、移住者や特定の地域と交流を持ち続ける関係人口が増え始めた時期だったが、消滅可能性都市という言葉がネガティブなインパクトを与えてしまい、自治体を諦めさせ、萎縮させてしまった面もあった」と指摘。今後について、「自治体間の格差が広がっている。人口減少を緩和する少子化対策も重要だが、地域住民が住み続けられる適応策がより大事になる。関係人口を増やし、地域住民と移住者が起業したり、地域内での経済循環を促したりして、『にぎやかな過疎』を目指すべきだ」と提案する。

秋田魁新報

農山村政策に詳しい明治大の小田切徳美教授は、各地で積み重ねられてきた地域づくりへの悪影響を懸念する。「10年前も消滅と名指しされた地域では、住民の諦めムードが広がってしまう例があった。地域の自信や誇りさえ失ってしまいかねないような状況が生まれた」と批判する。「この10年、地道に頑張ってきた地域がまた消滅と言われ、自分たちのところは駄目だったのかと下を向いてしまいかねない」。今回の報告書があくまで人口の増減のみに着目したことも問題視する。「今後は人口が減少しても、どのように地域社会を維持し得るのかという適応策に視点を移すことが重要。単純な人数ではなく、例えば地域と密度の濃いつながりを持つ関係人口をつくることで、地域に好循環が生まれる。それは各地で実証されてきた」と小田切教授は語る。「地域にはいろんな可能性があり、地域づくりの知見も蓄積されてきている。それにも関わらず、消滅という乱暴な将来像を振りかざすことにより、地域の可能性の芽を摘んでしまいかねない」

農山村は消滅しない(小田切徳美、岩波新書、2014年)

地方消滅論が社会に衝撃を与えている。しかし農山村では、困難な状況にもかかわらず、住民自らが「地域づくり」に取り組み、持続的なものにしようとしている。共鳴する都市の若者の「田園回帰」も始まった。それは、都市再生のヒントとなるものである。農山村の実態に深く沈潜して、こうした動きの全貌を明らかにする。

にぎやかな過疎 https://www.zck.or.jp/site/column-article/16740.html