今年9月7日に開催された第16回地域活性学会研究大会において、本学の学部生が発表した「柏崎市西山町における買い物難民・子育て世代への支援策の提言ー道の駅を活用した課題解決策ー」が奨励賞を授与される名誉に与りました。本研究活動にご協力頂きました地域の方々へのご報告・御礼と、同様の地域活性化プロジェクトに取組んでいらっしゃる方々に対し何らかのご参考となればということで、我々の活動の内容を簡単にご紹介させて頂ければと思います。
地域に学び、地域を興す
新潟産業大学は、1988年に地元柏崎市と周辺5町村の主導の下で設立された公設民営型の大学で、新潟県では一番古い私立大です。この様な設立の経緯もあり、地域との関係を大切にした教育に長く取組んできた歴史があり、現在では「地域に学び、地域を興す」を教育理念に掲げ、地域との関わりの中に学生の成長の場を見出し、地域の方々と一体となって学生の成長をサポートするとう考え方の下、各種の地域プロジェクトに取り組んでいます。地元の柏崎市は、新潟県の中越地域にある人口8万人ほどの小都市ですが、その中でも2005年に柏崎に合併編入された西山地域は人口5千に過ぎず、合併後も人口減少が止まらず、高齢化による買い物難民対策と子育て支援が重要な課題となっている地域です。今回受賞の対象となったプロジェクトは、既に西山町に立地している道の駅「西山ふるさと公苑」を活用し、巡回バスによって既存の商業施設と連携連担を進めることによって、買い物難民対策と子育て支援を効率的に推進できないかとの発想がコアとなっています。先行事例の収集、西山町の現状分析などを行い、具体的な支援プランを策定し、その内容を中間報告として学会で発表させて頂きました。
学内の3つのゼミナールが連携協働して取り組んできた
このプロジェクトは、2023年度の春学期から、学内の3つのゼミナールが連携協働して取り組んできたもので、当時4年生であった奥野飛龍君、岩田桜也君(両名とも今3月に卒業、現在社会人1年生)と、当時3年生の村上翔琉君(現在4年生)の3人が中心となって取り組んでくれました。プランの基礎となる「道の駅」の新しい役割についての考え方や先行事例の調査、西山町における高齢者難民等の実態把握、現地の道の駅の実情や関連商業施設等の立地状況の調査など、計画のコアになる情報の収集整理とプランのとりまとめに精力的に取り組んでくれた様子が思い出されます。地元自治体の方々との意見交換、学内3ゼミによるワークショップ、地元商工会議所主催のプラン発表会など、3人にとって初めて体験することが殆どで苦労も多かったと思いますますが、地域の方々との関わりの中で彼らが日々逞しく成長していく姿をまじかに見ることができました。今後は、彼ら3人が考案した計画案を基に、自治体の関係部署や地元住民の方々とのワークショップなどを通じて、計画案の具体化・実現に向けた活動を展開していく予定です。
安達明久(新潟産業大学経済学部・大学院経済学研究科特任教授)