先生はプロボクサー

中嶋克成(周南公立大学福祉情報学部講師)

周南公立大学福祉情報学部の講師兼ALプロデューサーを務めています中嶋克成と申します。元々は高等学校教師兼プロボクサーをしていましたが、練習中にアキレス腱を断裂してしまい、それを機にプロボクサーを引退するとともに現職である周南公立大学(旧徳山大学)講師へ転職をしました。周南公立大学では、主に教職課程やALプロデューサーとしてアクティブラーニング型の授業設計を担当する傍ら、大学と地域を結ぶ役割を担ってきました。2022年12月11日に実施された地域活性学会中四国支部で発表した「消防団教育システム消防団大学の実践」もそうした活動の中から生まれた地域活性の種の一つです。また、周南公立大学では、”地域に貢献できる人材の育成”をめざして、地域とともに地域問題の解決に取り組むべく、研究体制の充実と教育の改革を進めています。周南公立大学では、学生が主体となって地域の身近な問題を見つけ、その解決に向けて調査・分析から解決策の提示までを行う「地域ゼミ」(2年次)、さらに専門知識を活用してこの問題解決型学習(PBL: Problem Based Learning)を進めていくPBL型「専門ゼミ」(3・4年次)が設置してあり、私はこれらの科目の担当もしています。

100キロマラソン出場

ゼミ活動の一環としてのオリンピックホストタウン活性化

ゼミ活動の一環として行っている地域活性化として「ホストタウン活性化」があります。わが国では、東京2020オリンピックパラリンピックの開催に伴い、参加国の事前合宿地(ホストタウン)の選定が行われています。ホストタウンと相手国はオリンピック終了後も継続的に交流をしていきます。周南公立大学近隣の市町村では、「ベトナムバドミントン代表のホストタウンとして下松市」、「セルビアバレーボール代表のホストタウンとして防府市」がそれぞれ選定されました。中嶋ゼミでは下松市地域交流課、防府市ホストタウン事業推進室と連携し、ホストタウン事業活性化を大きな目的として活動することとなりました。2019年度までは、「ホストタウン紹介パンフレット」を作成したり、市のイベントでホストタウン相手国の名産を販売したりする活動を通して、市民のホストタウンへの認知度を高め、併せてホストタウン相手国との交流を促進してきました。

ホストタウンパンフレット贈呈式

下松市イベントへのベトナムコーヒー店出店

2020年度になってからはCovid-19の影響で対面を通した活動に大きな影響を受けることになってしまいました。コロナ禍でも市民の文化交流を続けるため、中嶋ゼミではオンラインで実施可能なオンラインツアーやオンラインクッキング、伝統スポーツ紹介などの動画を作成し、Youtubeに公開することとしました。現在も活動継続中ですので是非ご覧ください。

ゼミ動画へのリンク、チャンネル登録よろしくお願いします。https://www.youtube.com/channel/UCeKWDlerJbqNUDRg-b8SF5Q

ホストタウン関連動画の一つ「マッスルクッキング(セルビア料理)」

温泉×学知

その他の実践として、環境省に選定された大学のある山口県周南市湯野温泉の「コンテンツモデル調査」があります。湯野温泉は、少子高齢化による人材不足、後継者不足による旅館や商店の廃業によって地域全体の活力が低下するなどあらゆる課題に直面していますが、同じ周南市に所在する「大学」(周南公立大学)という資源を未だ活かしきれてはいない状況です。「大学」もまた温泉地の魅力を高める「観光資源」なりうる可能性があり、すなわち温泉地は一般向けの「学びの場」となりうると考えています。そこで現在「温泉×学知」をテーマに「温泉知サロン」を開催しています。「温泉知サロン」では、湯野温泉で「哲学カフェ」「サイエンスカフェ」形式の座談会をしていくものです。サロンは比較的長時間を想定して、特産品を中心とした飲食物が提供され、また入浴のための入退出を自由としています。参加者は、当大学教員のファシリテートのもとテーマについての思索を深めていくことで学問知に触れると同時に、温泉地の魅力を味わいながらリラックスした雰囲気でサロンを楽しむことができる仕掛けとなっています。このプログラムは、その効果の調査分析を行っています。その結果分析を基に今後持続的に活動がおこなえるように管理体制や予算など総合的に判断して仕組みづくりをおこなう予定です。

Writer:中嶋克成