高知工科大学大学院博士課程の門をたたいた

長尾敦史

職を転々としておりました

香川大学地域人材共創センターで特命講師をしております。大学に来るまでは、会社員、特別支援学校の教員など職を転々としておりました。私が大学と関わりだしたのは、大学院で社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラムの担当として四国の県庁所在地を結んで遠隔講義を行う今でいうリカレント教育の走りのような業務がスタートでした。このころ、技術補佐員(世間でいうアルバイトです)にも関わらず当時の先生方に連れられて四国四県の商工会議所などを訪問して地域の中小企業がどのような人材育成を必要としているかを一緒に調査し、それをもとにカリキュラムを構築し、理論と実務のバランスに考慮した教育プログラムを実施しておりました。この事業が終わりを迎えるころに地(知)の拠点整備事業の公募が始まります。香川大学でも採択にむけて各自治体を回り協力要請をしていいきます。事業採択に協力して採択されたのだから残してくれるだろうと淡い期待をもっていたのですが、甘かったですね、雇用期限もあり大学を離れることになりました。

塾で働きながら、COC事業を手伝いました

フリーターに戻った私ですが、塾で働きながら、COC事業を手伝うことにしました。最初は、学内の先生方から煙たがられるだろうと思いながらも私を慕ってくれる学生や地域の方、自治体の担当者などがいたので、とりあえず1年ずつやってみてどこまで行けるか試そうという気持ちでした。私が手伝っていた市町村が香川県東かがわ市です。東かがわ市では基本構想で地域協働を重点施策に掲げています。具体的には市内各地区で住民と大学が協働する地域コミュニティの活動です。東かがわ市での活動は幅広く農村振興、コミュニティビジネス、定住対策など多岐にわたりました。当初は1か所からスタートし、現在では、東かがわ市内は7地区まで活動エリアが増えました。

大学で働くチャンスを与えられました

そうしているとまた大学で働くチャンスを与えられました。業務も縦と横に広がっていきます。地域と協働する大学の在り方に悩みます(この悩みはまたの機会にご報告します!)。一方で、大学で生き残るためには、学位がいる、そう思いながらも平日は夜に地域の会議に出て、土日もほぼ働く日々(車の1週間の走行距離が800キロもざらにあります)で、なかなか進学に踏み出せないでいました。そこにコロナがやってきます。オンラインで講義や論文指導を履修できるところはないだろうか、と探したところ見つかりました。

博士課程の門をたたきました

高知工科大学博士課程の門をたたき、那須清吾教授のもとで博士論文を書くことにしました。研究テーマは、「地域ビジネスにおけるエコシステムの構築」です。はじめは博士論文さえ書けたらいいやという気持ちでいたのですが、せっかく大学院に通うのだから満喫しようとほぼ全部の講義をとることにしました。平日は仕事、毎週土曜日は、1日5限です。コロナ禍だったのでオンラインで受講することができましたが課題もあり大変な日々です。研究生活については、論文指導が月2回のペースであり、調べた内容を報告していきます。違う角度からのサジェスチョンはたくさんの示唆があります。また年に2回は高知で研究の進捗状況を報告しあう研究セミナーがあり、皆さんと交流する時間もあります。講義科目について少し紹介すると4月に履修する研究方法論は専攻の先生がリレー形式で行います。文理問わず多彩な研究方法論とプロセスを講義してくださります。高知工科大学は、東芝、三菱電機など企業で活躍された先生、会社経営をされている先生など実務を経験している先生も多く、一つ一つの講義が新しい発見の連続です。同級生も地域活性学会でお世話になっている斎藤俊幸先生をはじめ、医師、ベンチャー企業の経営者、多士済々で新しいネットワークもできそうです。