私が大学教員になるまで(函館大学専任講師 薗諸栄)

 はじめに

はじめまして。私は函館大学で専任講師を務めております、薗 諸栄(そのしょうえい)と申します。この度の理事改選により新任理事となりましたので自己紹介させていただきます。

博士課程での挑戦

私の博士課程における研究テーマは「ワーケーションによる地域活性化」です。出身地である和歌山県が早くからワーケーション事業に取り組んでいたことをきっかけに、2019年より本格的に研究を開始しました。その後、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークやワーケーションが急速に社会へ浸透し、研究の意義は一層高まりました。これまでに47都道府県すべてに足を運び、各自治体担当者へのインタビュー調査を行い、地域の視点からワーケーションを捉える研究を進めてきました。博士課程は、査読付き学術論文を3本以上掲載しなければ卒業できないという厳しい要件がありました。授業の単位取得で評価される修士課程とは異なり、成果主義の環境は大きなプレッシャーでした。2年次の時点で査読論文は1本しかなく、不安を抱えていたときに出会ったのが、地域活性学会の「論文サポート・スクエア」でした。

転機となった「論文サポート・スクエア」

この制度を通じて永松先生に初めてご指導いただいたことが、私の研究人生の大きな転機となりました。顔も名前も知らない私に丁寧かつ親身に対応してくださり、まさに「命の恩人」ともいえる存在です。いただいたコメントは常に的確で、細やかな赤入れや励ましの言葉が私のモチベーションを支えてくれました。論文執筆のノウハウは本からも学べますが、実際に書き、読んでもらい、フィードバックを受けることこそが最も実践的な学びだと実感しました。まさに「論文サポート・スクエア」はその学びの場でした。

飛躍と実績

その結果、博士課程3年次には査読付き論文を6本掲載できました。研究ノートや事例報告を含めると20本以上の成果を出すことができ、自分でも驚く成果となりました。さらに、研究活動にとどまらず、大学教員採用試験に向けた応募書類の作成、模擬授業、面接対策に至るまで、細やかなサポートをいただきました。また、地域活性学会では信州大学の林靖人先生・内田考生先生と共に「関係人口研究部会」を設立し、現在は事務局長をしています。外部講師を招いた研究会を定期的に開催し、地域との交流を深めています。こうした学会活動を通じて研究だけでなく実務経験も積むことができました。

これまでに学会誌に掲載された論文

苛烈な就職活動を経て

博士号を取得しても、大学教員としての道は狭き門です。実際、80件近い教員公募に応募し、ようやく書類選考に通り最終選考にたどり着いても、最後の1人に選ばれることは容易ではなく、過酷な就職活動が続きました。それでも挑戦を続けた結果、現在は任期のない専任講師として着任することができました。この結果は努力と運、そして支えてくださった先生方のおかげだと心から感謝しています。

五稜郭公園の桜

研究を志す皆さんへ

研究の世界は、孤独で厳しいことも多く、特に論文を書く作業は一人で進めると難しさを感じる場合があります。そんな時に役立つのが、地域活性学会の「論文サポート・スクエア」です。「書く → 読んでもらう → フィードバックを受ける」という実践的なプロセスを通じて、論文作成力は大きく伸びます。博士論文や投稿論文、大学教員応募に関する永松先生とのメールのやり取りは、3年間で700回を超えました。研究に関する悩み事があれば、申込窓口に「サポート希望」と明記して連絡すれば、いつでも必要なサポートを受けることができます。

研究室からの写真

現在の取り組みと今後

現在、函館大学ではゼミ活動の一環として、地域連携研究を進めています。今年度は、五稜郭や函館空港にてアンケート調査を実施し、観光行動や満足度の分析に取り組んでいます。こうした活動を通じて地域課題を把握し、解決策を検討するとともに、その成果を社会へ発信していく予定です。また、研究活動や学生の様子については、Instagramでも随時発信しています。現場での学びや学生の成長の姿をご覧いただけますので、ぜひご覧ください。最後に、地域活性学会においては、研究部会や北海道支部での活動をはじめ、学会全体の発展に少しでも貢献できるよう、今後も全力を尽くしてまいります。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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