斉藤俊幸
はじめまして
地域活性学会広報交流委員会の斉藤俊幸です。実務家研究者を略してJKと名付けました。JK育成に向け、地域活性学会は本腰を入れることになりました。このウェブサイトでは、大学院の修士、博士課程で研究を進めている実務家の方々に寄稿いただきます。また、この文章をもとに出版にこぎ着きたいと考えております。地域活性学会の研究論文や研究ノートは査読対象で、非常にハードルが高かいです。しかし実務家向けに優しくアドバイスも行い、皆さんとともに高いハードルを乗り越えてゆこうと考えています。大学が認めれば、高校から大学を経ずに大学院修士課程に入学できます。大学が認めれば、大学から大学院修士課程を経ずに大学院博士課程に入学できます。学会の査読論文が2本あることが、博士課程の学位取得の要件とする大学が多いです。学生にとって学会は重要な存在です。この博士課程には1年から3年で修了でき、なおかつオンラインで単位が取得できる社会人特別コースがあります。こうした大学院の窓口の紹介もさせていただければと考えております。論文投稿数が減少する日本でありますが、JKを育成することにより投稿論文数を増やし、日本を盛り上げて参りましょう。どうぞよろしくお願いします。
牛舎にて
査読論文数で大学や研究者から評価される。
学会が発行する研究誌への論文掲載は研究者の評価に直結します。研究論文(査読付)、研究ノート(査読付)の論文を研究者が出すことによって成果として認められます。つまり大学内では内容を評価しないで学会が評価した本数を大学が評価するだけと考えたほうがいいです。どのような場面が想定されるかと言えば、博士課程審査、大学教員の採用審査、大学内の准教授から教授への昇進審査、年次審査の場面で教員、研究者は評価されます。論文”数”は重要な基準です。例えばある大学の学部で教員を採用する場合、教授クラスの採用は「論文最低20本」などのように基準があります。この論文は「査読付き20本」のように書かれることが多く、査読(第三者評価)によって価値(質)が保証されたもののみが対象になることも多いです。また、査読付きであっても、例えば「研究論文(査読付)」を1点とするなら、相対的に研究ノート(査読付)の価値は、0.7~0.5点などのように傾斜評価されます。さらに、「査読無」の事例報告は、0.2~0点と評価。博士論文の審査でも、査読付き○本以上といった条件があります。JKも学会における査読論文数で大学や研究者から評価されるわけです。それだけ学会は大切な存在なのです。
もち麦試験栽培
研究ノートを書き始めよう。
地域活性学会が査読する研究論文と研究ノートは単純にステージの違いであり、価値を比べるものではありません。萌芽期の研究をまとめたものは、必然的に、事例研究や研究ノートになります。むしろ、研究ノートに出しておくことで、特許のように先に着眼点を宣言することができる意味では重要と言えます。言い換えれば、研究論文は一定程度の蓄積や相当しっかりした内容でないと、書けるものではありません。事例研究や研究ノートを出して世の中の反応を確認しつつ、さらにデータを溜めて研究論文として昇華するということは多くの研究者の常套手段となっています。JKは地域活性化の現場にいるわけですから事例を踏まえて研究ノートとして書いてゆき、最終的に研究論文と昇華させてゆくことがよいかと思います。
和牛の放牧
地域活性学会は国主導でできた学会です。
地域活性学会の紹介をしなくてはなりませんね。北海道の大学で開催された地域活性化システム論に参加した内閣官房地域再生室にいた御園慎一郎氏らが、鉄道車内で地域活性化を研究する学会を作ろうと話し合ったのが最初です。その後、地域活性化システム論に参加した大学関係者に呼びかけ、2008年に設立したものです。小泉内閣のころです。地域活性学会の4代目会長は、当時学会組成を牽引した御園さんが就任しました。産学官でスタートした実務家に開かれた学会が地域活性学会です。
キウイ畑にて現地踏査
私はJKとして博士課程に入学しました。
私はどうして地域活性学会に入ったかと言えば、大宮登元地域活性学会長に国の委員会で出会い、入らないかと誘われたからです。コンサルタント会社を26歳の時に起業し、早や40年。地域活性化の現場で働く一人親方の会社を経営してきました。こんな私は、さすがに研究者は向いていないと考え、地域活性学会の入会を何回かお断りしましたが、入ることにしました。各地で開催される研究大会には付き合い程度で(ごめんなさい)顔を出していましたが、基本は静かにしてました。しかし折角、在籍しているのだからと数年前に査読論文を出しました。そこからなんと7連敗です。ずっと非採択が続いています。単純に力不足です。見かねた御園会長が、高知工科大学の那須清吾副会長に習えとつないでいただき、同大学院博士課程に入ることができました。コロナ禍のタイミングもあり論文を書く時間はありました。しかし、ここでも苦戦しています。でも、どうでしょうか。みなさん、こんな私もいますから、地域活性学会で同じように査読論文に挑戦しませんか。お待ちします。
高知工科大学大学院那須先生のオンライン授業
writer : 斉藤俊幸(地域活性学会員)