【重伝建】桜川市真壁伝統的建造物群保存地区の東日本大震災からの復興状況報告(2025年4月12日)

復興した米蔵の前でディスカバーまかべのみなさん

被災直後の米蔵(2011年)

歴史的街並みを舞台に活動するディスカバーまかべが国土交通大臣表彰を受賞

ディスカバーまかべは、茨城県桜川市真壁町の歴史的街並みを保存し、地域の魅力を再発見することを目的とした活動団体です。この団体は1993年に設立され、地域の歴史や文化を広めるための様々なイベントやプロジェクトを実施しています。先輩たちから活動を受け継ぎ、また東日本大震災の被災から復興へと歩む中心的組織として地域の貢献してきました。こうした地域貢献活動が認められ、2024年度には国土交通省手づくり郷土賞を受賞しました。審査委員の私は、誰も質問しないので、あわてて手を挙げ「真壁は埼玉の川越や千葉の佐原と違ってあまり有名ではないのですが、東京からどうやって行くのですか?」と苦し紛れの質問をしました。壇上からはつくばエクスプレスに乗って終点のつくばに来ていただければ、車でお迎えに上がります!」との答え。このやり取りで今回の初めて桜川市への訪問が実現しました(審査委員:斉藤俊幸)。

東日本大震災により大きな被害を受けた桜川市真壁伝統的建造物群保存地区は復興できているか

桜川市真壁町の重要伝統的建物群保存地区は、東日本大震災によって大きな被害を受けました。震災当時、真壁町の歴史的建物の約9割が被災し、特に古い建物の約7割が被災しました。中には完全に倒壊した土蔵や、傾いてしまった主屋も存在しました。地元住民は「古い景観を残したい」という強い思いから、耐震補強などの新技術を取り入れつつ、震災前の姿を取り戻す努力をしています。伝統工法による改修工事が進められ、復興が進んでいますが、2025年現在でも復興ができていない伝統的な建物もあります。

佐藤家住宅の薬医門形式の門

佐藤家住宅は、桜川市真壁町に位置する重要な文化財の一つです。特に注目されるのはその表門で、これは明治初期に建てられた薬医門形式の門です。佐藤家は江戸時代から続く旧家で、明治期には菓子製造業を営んでいました。表門は木造で、瓦葺きの屋根を持ち、間口は約2.5メートルです。この門は、かつての陣屋の裏通りに面して建てられており、地域の歴史的背景を反映しています。

伝統的街並みと調和した住宅

旧高久家住宅(桜川市所有)

桜川市真壁町には、いくつかの市所有の古民家が存在します。旧真壁郵便局は真壁町の重要な歴史的建物で、現在は町並み案内所として利用されています。旧高久家住宅は市が所有する古民家で、地域の文化財として保存されています。旧木村家住宅も市の登録有形文化財として位置づけられています。これらの古民家は、桜川市の伝統的な建物群の一部として、地域の歴史や文化を伝える重要な役割を果たしています。

旧木村家住宅(桜川市所有)

旧真壁郵便局(桜川市所有)

桜川市と日本郵便は、旧真壁郵便局と旧木村家住宅を観光資源として活用するための協定を結びました。この取り組みは、地域の活性化を目指しており、観光客を呼び込むことを目的としています。旧真壁郵便局は、特に真壁のひな祭りの期間中に多くの観光客が訪れる場所となっており、地域の文化や歴史を体験する場として重要な役割を果たしています。

村井家(村井醸造)

真壁伝承館

真壁伝承館は、茨城県桜川市真壁町に位置する複合施設で、2011年9月1日に開館しました。この施設は、公民館、図書館、歴史資料館の機能を持ち、地域の文化や歴史を伝える重要な役割を果たしています。真壁伝承館は、江戸時代の陣屋跡地に建設されており、周辺には歴史的な建物が多く存在しています。

安達家は重要な文化財であるにも関わらず伝統的建造物群保存地区外のため修復費用が捻出できず放置されている

安達家住宅は、茨城県桜川市真壁町に位置する重要な文化財であり、江戸末期に建てられた土蔵造りの建物です。この住宅は、主屋、見世蔵、座敷、薬医門の4棟から構成されています。特に、見世蔵は商業活動に使用されていたことから、地域の歴史的な商業の中心地としての役割を果たしていました。しかし伝統的建造物群保存地区の区域外にあり、東日本大震災の復興助成が行われず、いまだに修復できない状態が続いています。住宅内で雨漏りの続く中、高齢被災者の居住も続いており、なんらかの救済措置が必要と考えられます。

桜川市真壁町からみた筑波山

秋葉原駅からつくば駅までつくばエクスプレスで行けるが、その後桜川市まで鉄道や直通バスはなく陸の孤島(自動車で40分)