【データ】博士人材のキャリアパス

文部科学省科学技術・学術審議会人材委員会(2023年1月23日)の第 11 期審議まとめ(論点整理)にある博士人材のキャリアパスに関する参考資料をもとにFacebook地域活性学会JKグループのみなさんと考えてみました。

博士課程修了者の1割はポスドクになる

ポスドクは1万5千人おり、平均年齢は37.5歳、みんな順番を待っている

ポスドク、助教は任期付きが多い

ポスドクはみな任期付き。助教の65%が任期付き。准教授の25%が任期付き。私は昔から、いつでも担当者から首を切られても仕方がない下請けだったので、任期付きについては何の不服もないです。東京の仕事ってみな代替の効く存在(代わりはいくらでもいる)じゃない。しかし、その間、チャンスはきっとあります(斉藤)。

《コメント》免除にならない奨学金返済を抱えていると、返済計画に影響するのでかなり厳しいでしょうね。/バブル崩壊後の財政難で、学術や教育という投資をしないでディスカウントをしたのです。公共事業とは裏腹に。/センスのある人ほど、学校歴を重ねず、学習歴を重ねると感じます。大卒、高卒から社会人院生を増やすと良いです。

若い年齢階層が年々減少、年功序列の中で若い教員が去ってゆく

大学の本務教員(専任教員)の年齢階層別構成をみると25~39歳の階層が年々減少しています。大学教員に魅力を感じないのでしょうか。報われないから転職しているのでしょうか。若い人は希望を持って大学教員を退職しているのでしょうか。ものが言えないから?チャレンジできないから?今の若い人は転職志向です。早め、早めに動いています。40~49歳の大学教員(准教授クラス)は、安住せず次の準備をはじめるのがポイントです。自律できない状況に追い込まれると、50~59歳の大学教員(教授クラス)で大学にしがみつき、この層が増加傾向になるのではないでしょうか。これがチャレンジ不足の長老を生み、組織のイノベーションが不足する要因となります。これは、バブル崩壊時に企業にしがみついたバブル世代と就職できなかった就職氷河期世代の関係に似ています。民間会社でも集落組織でもどこでも、年功序列なので、衰退の原因を作っている。日本の組織の悪いところです(斉藤)。

《コメント》2011年度に博士課程を修了しましたが、まさにこのグラフで若手が一気に減少した世代の実感として、ポストが全くありませんでしたね😅/団塊の世代の先生方が続々と退官する中で、その空いた席が若手に回ることはありませんでした…。/自分は今35歳でちょうど来年度から大学を出ますが、大学は年々働き辛くなってると感じますね。/僕個人の話で言えば、より研究に適した環境(実際は行ってみないとわかりませんが)が他にあり、幸運にもそこからポストをいただけたので異動します。国立の研究機関です。残る先生方には頭が上がりません。僕と同世代の人達で、世界に与する研究者になろうとしたら、化け物みたいな体力があるか、それとも化け物みたいな知能があるかしないと無理だろうなと感じます。

博士課程入学者は減少傾向(博士課程に魅力を感じていない)

日本の企業は博士人材を採用しない

企業が博士人材を採用しない理由に挙げられている選択肢=博士人材は、博士課程時の専門分野での研究・開発を継続したい意向が強く、柔軟性が低いため。博士人材は、企業が必要とする実践的なスキル(分析手法やプログラミング、AI等)を身につけておらず、業務内容との親和性が低いため。企業内外(大学院含む)での教育・訓練によって社内の研究者の能力を高めるほうが、博士人材を採用するよりも効果的なため。採用する人材は、企業が必要とする人材像に合う人材であればよく、必ずしも博士号を持っている必要はないため。社内に博士号を持った人材がいない(少ない)ため。社内に博士人材を指導できる人がいないため。博士人材に見合った処遇ができないため。

米国の経営者の多くは大学院卒、日本の経営者の多くは大学卒

いったん大学を出ると大学教員に戻れない

博士号取得者数が減少しているのは日本だけ

大学発ベンチャー企業の経営責任者になっている博士人材が多い

大学発ベンチャー企業は博士人材の受け皿になっている

第 11 期 科学技術・学術審議会 人材委員会 審議まとめ(論点整理)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu10/toushin/mext_00001.html