山口省蔵(地域活性学会監事、金融部会副部会長)
ファンドを活用した地域活性化について
私から、次回研究大会(横浜・三浦半島。9月10日、11日)における金融部会セッション「ファンドを活用した地域活性化」について紹介したいと思います。地方創生にとって、新たなビジネスモデルにチャレンジするスタートアップ企業の創出は重要なテーマの一つとなっています。もっとも、スタートアップ企業に対する融資等での支援は、地域金融機関にとってはリスクやコストの割にはリターンが低く、手掛けにくいものでした。また、以前のベンチャーキャピタル(VC)では、投資先企業の上場を目的にするがゆえに、成長規模に制約がある地方の企業への支援はしにくいものでした。しかし、地域金融機関とファンドのそれぞれの強みを組み合わせることによって、地域企業の成長支援を実現するVCの事例がみられるようになってきました。なかでも、フューチャーベンチャーキャピタル(東証スタンダード市場上場企業)は、信用金庫や信用組合といった比較的小規模の金融機関と連携して、地域の企業を支援する「地方創生ファンド」のモデルを軌道に乗せてきたVCです。今回は、その中心人物である松本直人さん(前フューチャーベンチャーキャピタル社長)とフューチャーベンチャーキャピタルの創業者でもある川分陽二さん(フリーバンクキャピタル社長)を招いて、「ファンドを活用した地域活性化をどう進めるべきか」、「地域金融機関とVCはどのように連携していったらよいか」について報告・検討します。
【地域活性学会第14回研究大会金融部会セッション】 テーマ:ファンドを活用した地域活性化開催日時:9月11日(日)11:20-13:00登壇者:プレゼンテータ 松本直人(前フューチャーベンチャーキャピタル社長) 川分陽二(フリーバンクキャピタル社長) ファシリテータ 山口省蔵 (金融経営研究所 所長) |
日本銀行に勤めていました
今回のセッションでは、私がファシリテータを務めます。私は、もともと日本銀行に勤めていて、最後は、金融高度化センターというという部署で、セミナーなどを開催し、金融機関の優れた取組みを他の金融機関に伝えていく仕事をしていました。事業者支援などをテーマにセミナーを行っていましたので、地域金融機関が主導する地域活性化の事例に触れることも多かったです。私は、この金融機関を応援する仕事をずっと続けようと思い、4年前に日銀を辞めて、株式会社金融経営研究所を立ち上げました。この点に関しては、金融専門の新聞にも取り上げてもらっています。金融マンは、優秀な人が多いのですが、少し冷めているところがあります。その金融マンを熱く活性化させて、日本の金融を変えようと、「熱い金融マン協会」というコミュニティを立ち上げ、熱い金融マンを招いての対話会なども開催しています。また、熱い金融マンによる地域活性化事例を取り上げた「実践から学ぶ地方創生と地域金融」という本も書いています。
ニッキン(2018年9月)
地方創生と地域金融(学芸出版社)https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761527488/
今回のセッションのプレゼンテータである松本さんと川分さんは、いずれも熱い金融マンです。ぜひ、ご参加いただき、2人の取組みについて聞いた上で、ファンドを活用した地域の活性化について共に検討いただけたら幸いです。
Writer:山口省蔵