中高生が夢中になる学校の選び方シンポジウム(FC今治高校)動画ついてます

大阪から学びを考えるシンポジウム。中高生が夢中になる学校の選び方の登壇者の発言で気になった所を抜き書きします。小中学校の好きなことを見つけることと好きを貫くこととそこから問いを深める探究は博士号取得までつながっていますね。そこからSDGsなどの目標にある女性のエンパワメントやシングルマザーの能力構築にもつながってます。この流れを大学の教員は意外と知らないです。FC今治高校はサッカー少年を集める学校と思っていましたが、国際バカロレアの学校に近いのですね。当日の動画をリンクしています。ご視聴ください(斉藤)。

なおJリーグ創設を国側から支援した御園会長から「岡田さんは昔からの知り合いで、私の大親友の三代後の天王寺高校サッカー部のキャプテンでした。村上くんは灘高サッカー部の一年下。 懐かしい顔を見せていただきました。ついでに鈴木寛くんも、サッカー部の後輩でした」とのコメントを頂いています。

今治FC辻校長>与えるものを減らす学校です

FC今治高校は、できるだけ与えるものを減らす学校です。自分たちが夢中になれることに時間を割いてゆく。没頭できるものに出合ってほしいという学校です。

後藤健夫>教育を取り巻く環境が昔と変わっている

今、教育はどういう状況にあるのか。教育を取り巻く環境が昔と変わっている。そこを捉えたセッションしたい。

岡田武史>日本人は多様な人の違いを間違っているという。間違っていない。違うだけだ。間違っているというと感情の話になるとうまくいかない。

サッカー指導者であり、教育は素人。経営を9年間行ってきた。教育とは社会に出るための準備。社会はこんなに変わっているのに教育はそのままでよいのか。原点は地球環境が元に戻れないという危機感がある。我々に残された時間はない。ただ今なら間に合う。ロールモデルがない時代を生きてゆかねばならない。過去のデータが役に立たない時代。水がない、作物がない時代に、お上が何とかしてくれる、先生が教えてくれるではない。主体性を持って自分で生きてゆかねばならない。村上和夫先生は遺伝子にスウィッチを入れると話している。豊かさ、便利、快適、安全な社会に遺伝子のスウィッチが入っていない。こんなに守られていつスウィッチが入るのか。メンタルで少々なことであきらめない。ロールモデルのない時代に想定外のことが起きる。適応力が勝負だ。人間は一人で生きてゆけない。だから力を合わせる。コミュニティを作らなければならない。そのためには多様な人を巻き込んでいく必要がある。リーダーシップとキャプテンシップがある。リーダーシップはみんなついて来いと引っ張ることだ。キャプテンシップとはみんなの主体性を引き出し巻き込みながらコミュニティを作ることだ。同質な人のコミュニティは共倒れになる。多様な人を巻き込んでゆくキャプテンシップが重要だ。そのためには手をかけすぎない。本当に育つ力を信じてセーフティネットを作るだけでいい。どうしたの?先生に手伝えることはある?並走してともに成長してゆこうという姿勢が求められる。日本人は多様な人の違いを間違っているという。間違っていない。違うだけだ。間違っているというと感情の話になる。うまくいかない。違うことをみんなで認め合って話し合うことが民主主義の根幹だ。心の豊かさは目に見えない。信頼、共感、夢を語らないと行く詰まる。物質的成長ではなく、文化的成長を目指すことが必要だ。新しい社会をこうやって作りたい。その一環が教育である。多様な人を受け入れるキャプテンシップをもった人材を輩出して、その人がコミュニティを作り、コミュニティの中心になると世界は変わる。

井藤眞由美>探究とは今持っている理解より深くしてゆくためのプロセスだ

国際バカロレア(IB)の教員。IBは50年前にスイスジュネーブで開発された国際的に通用する教育プログラム。文科省は10年前にIB校を200校目指すと宣言したが、現在は229校ある。FC今治高校はIBと共通点が多い。探究とは今持っている理解より深くしてゆくためのプロセスであり3つぐらいのレベルがある。ひとつ目は問いを立て解決する方策を見つけ論文にする。ふたつ目は問いを先生が用意し解決策を自分で見つける。三つ目が問いを先生が用意し、対応の仕方も用意し、それを追求するである。

村上恒男

鈴木寛の灘高校の恩師。サッカー部顧問。

鈴木寛>マニュアルを覚えてそれを高速に正確に再現するという教育はそろそろ卒業だ

中高時代に好きなことを探究することを行っていた。社会科学がスキ。サッカー部を強くするにはどうすればよいのかの2つを考えていた。鈴木氏はマネージャー的存在。サッカーチームがどうすれば強くなれるのかを探究してた。まさにセルフプロデュースができるチームだった。マニュアルを覚えてそれを高速に正確に再現するという教育をそろそろ卒業し、探究型、自分の好きなことを内発的動機付けで極めていく。指示待ち人間ではないアクティブ・ラーニングを実現したい。

小村俊平>出会いの場がコミュニティの大きな役割

学校とは学びのコミュニティ。学校の外とのコミュニティ。地域での出合い。チャンスを作ってくれるコミュニティ。出会いの場がコミュニティの大きな役割である。

シンポジウムの趣旨

変動性が高く予測が難しい社会に対して、大学入試のあり方が大きく変化しています。従来の学力や知識量だけでなく、スポーツや特別な資格、課外活動の実績など、多様な才能や能力、個性、熱意が評価される総合型選抜の入試枠が、国立大学をはじめとする多くの大学で拡大しています。近年の総合型選抜入試では、生徒が自らの体験で培ったコミュニケーション能力や問題解決能力、創造性など、生きることや学びに対する姿勢そのものが高く評価されています。そうした変化に合わせて、中学や高校での学びのあり方もアップデートされなければなりません。生徒一人ひとりが、安心して自分の興味や関心を発信できる心理的安全性の高い関係構築や、探究が起こるカリキュラム設計、実践するための場など、これまでの学校とは異なる環境やサポートが求められています。

登壇者

岡田武史:FC今治高校学園長 / 元サッカー日本代表監督

鈴木寛(オンライン登壇):東京大学教授 / 慶應義塾大学特任教授、東京大学法学部卒業後、通商産業省に入省。慶應義塾大学SFC助教授を経て2001年参議院議員初当選。12年間の国会議員在任中、文部科学副大臣を2期務める。2014年10月より文部科学省参与。日本でいち早く、アクティブ・ラーニングの導入を推進。2020年度から始まった学習指導要領の改訂、40年ぶりの大学入学制度改革に尽力。

井藤眞由美:関西学院大学 教職教育研究センター 教授 / 国際バカロレア教員養成プログラム(IBEC) 特任教授

小村俊平:ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター長、全国の自治体・学校とともに次世代の学びの実践と研究に取り組み、数多くの学校改革や学校設立にも関わる。全国の教員や中高生との対話会を毎週開催しており、学校や家庭の学びの変化や先進事例に詳しい。

村上恒男、灘中学校・高等学校 元教諭、灘中・高、京大卒。卒業後、母校にて物理科教諭・サッカー部顧問 (定年後・非常勤講師)として46年間勤務。

後藤健夫:コラムニスト / 教育ジャーナリスト、南山大学を卒業後、学校法人河合塾、早稲田大学、東京工科大学等に勤務。ダイヤモンド・オンライン、日本経済新聞等に連載コラムや記事を執筆。高校や大学、教育委員会、セミナー等での教員研修、講演、多数。

シンポジウムの様子

 

後藤健夫

このシンポジウムの内容と、登壇者が5000字ぐらいの別途の記事を書けば、良い本ができそうだ。さらに岡田さんのインタビューとかね。このシンポジウムを前に、岡田さんの対談本を読んだけれど、岡田さんは「教育の素人」ではないです。本質をとらえています。だから、岡田さんの発言は一つ一つが重いです。