「未来に向けての選択的な撤退の道はないのか。過疎集落からはじまる戦略的な構築と撤退のなかで、この先、都市から農村への移住が大幅に増加することは考えにくく、すべての過疎集落の人口を長期にわたって維持することは難しい。財政が苦しい時代にあっては、各種の支援もあまり期待できない。このような状況を前提とした新しい戦略が求められる」(農村集落撤退論)
林直樹先生(金沢大学)と前田裕資氏(学芸出版社)
37歳で撤退論を発表
昨日は農村集落撤退論を主張する林直樹先生(金沢大学)に京都の学芸出版社でお会いすることができました。アカデミズムに論壇があり、長老が存在することを意識するのであれば、こうした撤退という視点での本は出版できないと思いますが、この勇気は今までの日本にないものです。貴重な存在だと思います。2010年、当時37歳の林先生は、「けしからん」と言われめちゃくちゃ、言われたようです。斉藤も最初は違うだろうと思いましたが、大きな刺激を受けたのは事実です。その後、斉藤は撤退論ではなく、農村たたみ反対論の側に立って論文を書き始めます。林先生なくして、ここまで書けなかったです。私は集落は粗放農業と地域ビジネスで維持できると主張していますが、林先生に対して違うだろうとは思わなくなりました。いろんな意見があることを認めることが大切であると気がついたからです。自由に好き勝手にいえるアカデミズムのほうが大切だと思っています。そうした意味において37歳で問題提起した林直樹先生は素晴らしいです。昨日は会えて本当によかったです(斉藤)。
林先生と斉藤