奨励賞受賞報告(信州大学)

地域活性学会 第16回研究大会の受賞について

9月7日に名古屋市立大学で開催された地域活性学会第16回研究大会において、本学ゼミの学生が発表した3本の論文が奨励賞を受賞しました。この研究は自治体や企業の皆様のご支援のもとで実施され、こうした栄誉をいただけたことに心より感謝申し上げます。

学会での発表の様子

信州大学の紹介と3大学連繋から生まれた有志のゼミ

信州大学は1949年に長野県内の7つの高等教育機関が統合されて設立された国立大学です。現在、8つの学部(人文学部、教育学部、経法学部、理学部、医学部、工学部、農学部、繊維学部)を有し、長野県内に5つのキャンパスがあります。自然豊かな長野県のフィールドをキャンパスとして活かし、調査研究やフィールドワークに積極的に取り組んでいます。また、文部科学省の大学による地方創生人材教育プログラム(COC+R)に採択され、信州大学・富山大学・金沢大学の3大学が連携し、地域の特徴を活かしながら学生が実践的な学びを経験しています。最近、長野県白馬村と岐阜県養老町で、持続可能な地域公共交通の在り方についての研究を発表しました。執筆・発表した学生たちは「信大MaaSゼミ」という自発的な交通研究のゼミに属し、さまざまな学年や学部の学生が集まっています。異なる地域や専門性を持つ学生同士が協力することで、多様な視点から新たな視座をお互いに得ています。

アンケート調査の様子(白馬村)

ワークショップで利用者視点のディスカッション(白馬村)

白馬村や企業へ提案

地域や課題に関わる取り組み

交通が専門ではない私たちですが、「Move as a Service=あらゆる「移動」をサービスに繋げていこう」と利用者視点から次世代交通技術の利用を理解・普及したいという目的で調査を行っています。白馬村では、「チャレンジ白馬」という企業・自治体のプラットフォームに参加し、オンデマンドバスや予約システムの導入を進めています。学生たちは現地で住民や観光客から直接声を集め、ニーズや課題を把握しました。岐阜県養老町では、地域電子通貨「養老Pay」の普及に向けて、生活者や観光客の視点で必要な課題を提案しています。認知や利用の課題を整理し、地域の現状分析を行いながら、行政へ具体的な提案も行っています。

オンデマンドバスへの試乗(白馬村)

共に学ぶ環境の創造

デジタル技術や情報を活用しながらも、「わからないことは現場で確かめる」を基本に、学生と共に利用者の声を聞いています。この取り組みは、技術開発を行う企業や行政と議論しながら進めており、地域の現場が共に学べる環境を築いています。誰もやったことがなく、当然答えもない課題に対し、一緒に悩み、実行のための準備をしてチャレンジする、まさしく共創の場として、地域の現場は共に学べる環境にもなっています。

「まちに大学を、まちを大学に」

これは私が研究を始めるきっかけとなった恩師の言葉です。今回の研究成果の発表と奨励賞の受賞は、学生だけでなく関わった企業や自治体の皆さんにとっても喜ばしいものでした。この環境に魅力を感じ、新たな学生も参加してくれるようになっています。今後も企業や学生が共に学び、地域課題に取り組む「ラボ」を立ち上げ、持続可能な地域づくりを進めていきたいと考えています。

養老町での活動の様子と調査に関わった信大MaaSゼミメンバー(卒業生含)