地方創生 2.0 基本構想 骨子(案)令和7年5月 22 日9回新しい地方経済・生活環境創生会議資料
第1章 はじめに
第2章 地方創生をめぐる現状認識~これまでの 10 年を概観して~
1.人口・東京一極集中の状況
○ 人口推移:2008 年をピークに減少局面。直近 10 年間で約 340 万人の減
○ 東京圏への転入超過数:2024 年は約 12 万人(10 代・20 代は約 13 万人、女性は約 6.5 万人)
2.地域経済の状況
○ 経済成長:コロナ禍により大きく落ち込み。足元ではデフレ脱却の動き
○ 労働生産性・賃金:生産性の伸びは低下傾向。実質賃金は伸び悩み生産性・賃金の水準は都市と地方で格差がみられる
○ 輸出入:中小企業の輸出の伸び悩み
3.地方創生をめぐる社会情勢上の変化
○ 厳しさ:地方の人手不足の一層の進行、若者や女性の地方離れ
○ 追い風:インバウンドの増、リモートワークの普及、
AI・デジタルなどの新技術の急速な進化・発展
4.これまでの地方創生 10 年の成果と反省
○ 成果:国を挙げた人口減少問題への対処の開始、地方移住への関心の高まり
○ 反省:若者や女性が地域から流出する要因へのリーチの不足、
人口減少を受け止めた上での対応の不足、
国と地方の役割の検討、省庁間・自治体部局間の連携の不足、
地域のステークホルダーが一体となった取組の不足 等
第3章 地方創生 2.0 の発進と展開~これからの 10 年を俯瞰して~
1.目指す姿
○ 我が国の基盤である「強い」経済と、「豊かな」生活環境をさらに発展させ、それらの基盤により支えられる地域や人々の多様性が、国民の多様な幸せ、「新しい日本・楽しい日本」を創り出していく。
○ 人材希少社会においては、国民一人一人を大事にする社会、すなわち、人中心の国づくりを進め、すべての人を尊重する 「人財尊重社会」を築いていく必要がある。多様な価値観を持つ一人一人が互いに尊重し合い、日本中のあらゆる地域が自己実現を図っていくことのできる魅力溢れる場となることを目指す。
○ 地域の未来を担う若い世代一人一人が、地域に愛着を持ち、主体的に考え、選択・行動できる力、そして、自らの人生を切り開きつつ、社会の当事者として活躍する力が育まれるような人づくりが行われる社会を目指す。
①「強い」経済
・ それぞれの地域が中長期的に存立していくためには、自立的で、持続的に成長する経済活動が営まれていることが必要。地方経済を維持・発展させるため、需要を外に求めていくとともに、AI ・デジタルなどの新技術の徹底活用、分野を超えた連携・協働等により、生産年齢人口が減少する中にあっても 「稼げる」経済を創り出していく。
・ 付加価値創出型の新しい地方経済の創出が、住民の域外転出を防ぐとともに、新たな人を呼び込む。その結果、社会生活環境が形づくられ、人や企業の地方分散が進み、強い地方経済の創生に繋がっていく。
②「豊かな」生活環境
・ 人々が、地方で生き甲斐を持って働き、安心して暮らし続けることができる生活環境を構築することは、持続可能な地域社会を築くために不可欠である。
・ 人口減少が進む中でも、地域に生きる人々の不安を解消することで、新たなチャレンジや自己実現を図るための基盤が形づくられる。その結果、多様で豊かな地域コミュニティの形成が図られ、地方に新たな魅力と活力をもたらし、一層豊かな生活環境の創生に繋がっていく。
③「新しい日本・楽しい日本」
・ 強い経済基盤と豊かな生活基盤を構築したうえで、若者や女性にも選ばれる地方(=新しい地方・楽しい地方)、高齢者も含め誰もが安心して暮らし続けることができ、一人ひとりが幸せを実現できる地方を創っていく。それが「新しい日本・楽しい日本」である。
・ すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていける。そうした活力ある地方・国家を目指す。
・ 多様な人がつながることで新たな価値を生み、それがまた新たな人を呼ぶという多様性の好循環によって、地方が新しく生まれ変わる。人口減少を抱える地方とは、課題解決の場であるのみならず、これまでにない発想や技術、そして都市と地方の住民の交流等による、新たな価値創造の場である。
○ 10 年後に目指す社会像
・ 地方創生 2.0 は、国とともに、地域の住民や産官学金労言士が一体となって実現を目指すものであり、「みんなで取り組むもの」 「みんなで実現を目指す社会像」である。
・ このため、「新しい日本・楽しい日本」の実現に向け、10 年後に目指す姿 (社会像)として定量的なものを示す(3で記述)。
2.地方創生 2.0 の基本姿勢・視点
○ 人口減少を正面から受け止めたうえでの施策展開
・ 少子化対策等により、今後の人口減少のペースが緩まるとしても、当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めたうえで、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていく。
・ 厳しい状況の中にあっても、限られた財源や人材を最大限に活かしながら、地域にとって本当に必要なサービスを、過不足なく、かつ持続可能な形で提供し続けられる体制や制度を構築していく必要がある。
・ これからの 10 年だけでなく、さらにその先の 10 年を見据えて生じる課題等に対し備えておくべき観点も含め、分野横断的に幅広い視点で検討がなされる必要がある。
○ 若者や女性にも選ばれる地域づくり
・ 若い世代の意識と、「男は仕事・女は家庭」に代表されるような地域社会に残るアンコンシャス・バイアスとのギャップが、若者や女性の地方からの転出行動に繋がっている面がある。
・ 地方の強みを生かしつつ、若い世代の行動や意識の変化を直視し地方が抱える弱みを克服していくための大胆な改革に取り組んでいく。
・ 若者や女性にも選ばれる地域づくりとは、若者や女性のみのために必要なものと考えるべきではなく、性別や世代にかかわらず誰もが活躍できる可能性と選択肢を確保するものである。
○ 異なる要素の連携と「新結合」
・ 「新結合」とは、異なる分野や領域に属する要素同士を、従来にはなかった形で組み合わせることにより、画期的な商品やサービスを生み出すプロセスである。
・ これを推進するため、「地方イノベーション創生構想」として、各省庁が連携した地域の主体的な取組へのアイデア段階から具体化までの支援、多様な人材・主体の連携促進など、これまでにない相乗効果を生み出す視点から推進する。
○ 都市・地方の補完関係の強化と人材循環の促進
・ 都市と地方は切り離された存在ではなく、相互に補完し合うことで国全体の持続可能性が保たれる。
・ 「関係人口」を中心とした循環型の人材交流が促進されることで、様々な地域と人が結びつき、新しい関係人口が生まれていく。この積み重ねが、都市と地方の継続的な支え合いを生み、新しい役割や価値の創造に繋がっていく。
○ AI・デジタルなどの新技術の徹底活用と社会実装
・ AI やドローンをはじめとした目覚ましい進歩を続けるデジタル技術など新技術の徹底活用が必要である。
・ 実証実験に留まることなく、地域社会で広くこれらのサービスが実装され、活用される姿を創出していく。
○ 好事例の普遍化(点から面へ、産官学金労言士等の多様なステークホルダーの連携)
・ 先進的な取組の成果を、そのまま他地域に模倣・移植する「コピー」ではなく、それぞれの地域の特性や条件、社会資源等に応じて柔軟に取り入れ、広く普遍化させることが必要である。
・ 好事例を学ぶ機会を広く創出しつつ、各地域のステークホルダーが一緒になって、主体的に考え、選択し、行動する取組こそが、地方創生 2.0 推進の最大の力となる。
3.政策の5本柱
(1)安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生
・ 日本中いかなる場所も、若者や女性にも選ばれるような、安心して働き、暮らせる地域とする。
・ 人口が減少しても、地域のコミュニティや日常生活に不可欠なサービスを維持するため、拠点や物流等の在り方を変革させていく。
・ 災害に対応できるよう国を挙げて防災力を強化していく。
【10 年後に目指す姿】
○ 若者や女性にも選ばれる地方をつくる
・ 若者が地方に残りたい、東京圏から地方に戻りたい、地方に行きたいと思うことができる。また、地方に魅力的な学び場、働き場があり、若者が学びたい、働きたいと思うことができる。
: 地方への若者の流れについて設定
・ 性別にかかわらず、自分の能力や可能性を発揮し、働きたい人がいきいきと働き続けられる。
: アンコンシャス・バイアス等に対する取組や、若い世代の「働きがい」「働きやすさ」、女性の M 字カーブと L 字カーブについて設定
○ 安心して暮らせる地方をつくる
・ 身近な生活必需品の買物に不自由しない。
: 地域の買物環境が維持向上されている人口カバー率について
設定
・ 日常の医療・介護サービスに不自由しない。
: 地域の医療・介護サービスの維持・確保を行う地方公共団体の割合について設定
・ 災害時も避難所の生活環境が確立されている。
: スフィア基準を満たす避難所を整備するための災害用物資・資機材の備蓄を行っている市町村の割合について設定
(2)付加価値創出型の新しい地方経済の創生~地方イノベーション創生構想~
・ 地方に活力を生むとともに、我が国全体の潜在的な成長力を引き出す。
・ 地域のポテンシャルを活かした「新結合」を生み出す「地方イノベーション創生構想」を展開し、地域資源の徹底活用等による施策の新結合、地域での支援体制の構築等を通じた主体の新結合、新たな人材を呼び込む人材の新結合に重点的に取り組んでいく。
【10 年後に目指す姿】
○ 地域資源を活用した自立的な地方経済をつくる
・ 地域資源を活用した新たな産品、サービスが生み出せる。
: 観光産業の労働生産性について設定
・ 地域で国際競争力のある産品を生み出し、世界に向けても売り込める。
: 地方発の代表的な産品である工芸品や日本産酒類の輸出額について設定
・ 新たな起業に挑戦できる環境が整っている。
: スタートアップ企業がある市町村の割合について設定
(3)人や企業の地方分散~産官学の地方移転、都市と地方の交流等による創生~
・ 過度な東京一極集中は、深刻な交通渋滞や住環境の悪化、災害等のリスクもあり、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散が重要である。
・ 人や企業の地方分散に加え、都市と地方の人材交流 ・人材循環を促進し、地方への新たな人の流れを創っていく。
【10 年後に目指す姿】
○ 都市と地方が交流し、人材を大切にする社会をつくる
・ 都市か地方かにかかわらず、互いに交流し、助け合える。
: 関係人口(実人数、延べ人数)について設定
・ 人材が希少となる中で、一人一人が活躍できる。
: 希望する職員の副業・兼業が可能な職場環境を整備した事業者数の割合について設定
(4)新時代のインフラ整備と AI・デジタルなどの新技術の徹底活用
・ GX・DX が進展する新時代に、地域経済や地域社会を適応させていくことが重要である。
・ GX・DX によって創出・成長する新たな産業集積に向けたインフラ整備等を進めていくとともに、AI ・ドローンをはじめとした様々なデジタル技術などの新技術を地方創生に活かしていく。
(5)広域リージョン連携
・ 産業政策や観光など地域の成長に繋がる分野の施策については、都道府県域や市町村域を超えて取り組むことが重要である。
・ 地方公共団体だけでなく、企業や大学、研究機関等の多様な主体と連携して、地域の成長に繋がる施策が面的に展開されていく状態を創出していく。
4.各主体が果たす役割
〇 地域における担い手不足や、より広域的な政策展開の必要性等を踏まえると、地方創生 2.0 は、国・地方公共団体はもとより、産官学金労言士等 「みんなで取り組む」ことが必要。地域の力を結集して地方創生 2.0 を発進し、展開させる。
(1)国の役割
・ 地方創生 1.0 で行ってきた財政支援・人材支援・情報支援について、より柔軟に、より効果的に、より深く地域に根差したものへと発展させる。また、地方公共団体の各種指標や分析を比較可能な形で可視化することや、地方だけでは決が難しい構造的な問題に対処するため、制度的なアプローチを強化する。
(2)地方公共団体の役割
① 市町村の役割
・ 基礎自治体である市町村は、地方創生 2.0 を現場で中心的に担う主体として、地域のステークホルダー ・住民を巻き込み、一緒になって地方創生を進めていくリーダーシップを発揮することが期待される。
・ 地域のステークホルダーを巻き込んだ上で、自らの総合戦略の評価・検証を行うことや、政府の新たな政策を取り入れるなど、力強く地方創生 2.0 の施策展開を行うことが期待される。
・ 他地域の好事例を学び、地域の実情に応じ、これを再構築・活用するとともに、必要に応じて国の支援を取り入れながら、人材育成にも積極的に取り組むことが期待される。
② 都道府県の役割
・ 広域自治体である都道府県においては、自らの総合戦略の評価・検証を、地域のステークホルダーを巻き込んで行うとともに、複数の市町村が共通で抱えている課題について都道府県としての解決策を提示することや、市町村の補完体制の構築、市町村間の連携枠組みの提示と具体的な調整を行うことなど、これまでにも増して大きな役割が期待される。
・ 国の人材支援・情報支援等との連携や、人材育成に向けた市町村支援も、都道府県の役割としてより重要となる。
(3)多様な地域のステークホルダーの役割
・ 人口が減少する中においても、各主体それぞれが付加価値を創出し続けることが求められるとともに、地域社会を担う主体の一つとして、産官学金労言士等が相互に連携を図りながら、それぞれの人材、資金、ノウハウ等を生かして各地域の地方創生に貢献する役割が期待される。
・ 都市部にある企業・教育機関等においても、様々な地方に目を向けて、従業員や学生等が地域に触れる機会を増やしたり、地域を担う人材を育成したりするなど、それぞれの強みを活かした地域貢献を行う役割が期待される。
5.今後の進め方
○ 国は、令和7年中に本基本構想を実施段階に進めるための総合戦略を策定する。
○ 地方は、本基本構想を踏まえ、地方創生 2.0 に資する取組に早期に着手するとともに、産官学金労言士等の地域の多様なステークホルダーや、地域の若者・女性を巻き込んで、各地方版総合戦略の主体的な検証・見直しを行う。
○ 本基本構想は令和 16 年度末までの 10 年間を対象とした構想として策定する。中間年度である令和 11 年度に必要な見直しを行う。
6.政策パッケージ
(1)安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生
○ 若者や女性にも選ばれる地方となるための社会変革・意識変革
○ 社会の情勢変化に適応可能な将来を見据えた地域の拠点づくり、人づくり
○ 災害から地方を守るための国を挙げた防災力強化 等について政策を提示。
【政策例】
・ 地域の働き方・職場改革を起点とした社会変革
地域の働き方・職場改革を起点とした地域社会の変革に取り組む。意欲のある地方公共団体をネットワークで繋ぎ、経験・知見の共有により取組を加速することにより、これら先行地方公共団体の成果・成功体験を蓄積し、全国的な波及を目指す。
・ 実質賃金の引上げ
持続的 ・安定的な物価上昇の下、実質賃金で1%程度の上昇を、賃上げの新たな水準であるとの社会通念の規範として定着させる。
・ 将来を見据えた持続可能な地域のサービス拠点や運営体制づくり
廃校や郵便局などの既存施設の利活用、地方公共団体間の広域連携による公共施設の集約化、官民連携によるサービス拠点施設の整備による多機能化・集約化や、AI ・デジタル技術を活用した遠隔地へのサービス提供、運営人材の確保など、人口減少局面でも持続可能な地域のサービス拠点づくりを展開する。あわせて、地域の生活を支えるサービスの提供を担う共助型事業体を、「地域協同プラットフォーム」として新たに位置付ける支援の枠組みを創設する。
・ 地域医療提供体制の維持・確保
新たな地域医療構想において、入院医療だけではなく、外来・在宅医療、介護との連携等を対象範囲に追加し、地域の実情に応じた持続可能な医療提供体制を構築する。医療 MaaS、郵便局等を活用したオンライン診療、患者が看護師等といる場合のオンライン診療(D to P with N)の積極活用も含めたオンライン診療の推進と、医師偏在対策として医師不足地域への支援策の強化を実施する。
・ 地域の介護提供体制の維持・確保
中山間・人口減少地域において介護サービス提供体制を維持・確保するために、人員配置基準等の弾力化や介護報酬の中で包括的な評価の仕組みを設けるなどの柔軟な対応を検討する。あわせて、特別養護老人ホーム等が小規模事業所と連携して地域における介護サービスを維持・確保するなど、複数事業者の連携・協働化を推進する。こどもから高齢者まで、年齢や障害の有無にかかわらず、介護予防を主軸とした多機能なサポート拠点の整備について検討を進め、必要な措置を講じる。 ・ 「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開
全国の緊急かつ深刻な課題である「交通空白」の解消等を図る。このため、集中対策期間(2025~2027 年度)において、公共・日本版ライドシェア等の普及、民間の知見等の活用、共同化・協業化や自治体機能の補完・強化を図る新たな制度的枠組みの構築などの総合的支援等を行い、持続的に地域の移動手段が確保される体制を構築する。 ・ 全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」(日本版 CCRC)2.0 の展開
日本版 CCRC の全国展開を図る。このため、年齢や障害の有無を問わず多様な人々が集い、それぞれが持つ能力を希望に応じて発揮し、生きがいを持って暮らす小規模・地域共生ホーム型 CCRC について、既存の特別養護老人ホームなどの転換 ・活用も含め、関人省庁が連携して制度・運用の見直しや先進事例の周知等を行い、地域の特性に合わせた導入を拡大する。
・ 地域に愛着を持ち、地域で活躍する人材の育成
学校と地域との連携を深化するための取組を展開する。特に、専門高校を拠点とした地方創生支援・地域人材育成の取組を進める。また、地域コミュニティや産業界の学校教育への参画強化、キャリア教育や AI 活用による英語での地域の魅力発信等を進めるとともに、郷土に関する教育の観点を含めて次期学習指導要領に向けた検討を進め、必要な措置を講じる。
・ 避難所の生活環境の抜本的改善をはじめとした地域の防災力強化
トイレやベッド等の整備等、スフィア基準を満たすよう、避難所の生活環境の抜本的な改善を支援する。また、災害時に活用可能なキッチンカーやトレーラーハウス等に人る登録制度の運用により、発災時における迅速な支援を可能とする。さらに、NPOや民間企業等の被災者支援活動への参画を促すための民間団体登録制度の構築等の環境整備や地域の防災拠点形成を推進する。
(2)付加価値創出型の新しい地方経済の創生
○ 多様な地域資源(農林水産物・食品、文化資源、スポーツ、コンテンツ、自然環境等)を最大限活用した高付加価値型の産業・事業を創出 (観光、海外展開等)
○ 多様な主体の連携による地域の支援体制の構築
○ イノベーティブな人材の呼び込み 等について政策を提示。
【政策例】
・ 「新結合」を全国各地で生み出す新たな取組の推進「地方イノベーション創生構想」に基づき、様々な「新結合」を全国各地で生
み出すため、関係省庁が連携した意欲ある地方公共団体の取組へのアイデア段階から具体化までの支援、官民プラットフォーム等を通じた地方公共団体、民間事業者や大学・高専、研究機関等の連携・マッチング支援など、新結合を面的に広げる取組を進める。また、地方イノベーション創生構想関連施策を分かりやすく一覧化する、新結合が期待される地域を地図上に示すなど、施策や地域の可視化を進める。
・ 地方産品等の海外展開の強力な支援の実施
中堅・中小等の輸出額・現地法人売上高 35.5 兆円を目指し、商社やメーカー出身の専門家による販路開拓支援や越境 EC 等を活用した輸出先の多角化など、全都道府県に支援拠点を持つ独立行政法人日本貿易振興機構をはじめとする関係機関が連携し、「新規輸出1万者支援プログラム」を更に充実させる。さらに、地域産品等の地産外商・輸出拡大に向け、地域商社等がお互いの強みを補完する、民間の輸出支援コンソーシアムを新たに構築する。
・ インバウンドの地方誘客の促進
2030 年訪日外国人旅行者数 6,000 万人・消費額 15 兆円を目指し、インバウンドの地方誘客を促進するため、文化・自然・食等の多様な地域資源を活かした観光コンテンツの造成、観光客向けの移動手段などの受入環境整備等に取り組む地方公共団体やDMOを支援し、観光地の高付加価値化を進める。
・ 地域経済の更なる成長に向けた地域金融力の強化
地方創生 2.0 に向けた地域金融力を強化するため、金融機関による地方創生の取組の後押しとともに地域金融機関自身の経営基盤強化を柱とする地域金融力強化プランを策定し、推進する。あわせて、金融・資産運用特区の活用等も通じ、内外からの資金の呼び込みと、地方公共団体、金融機関、企業等の連携を通じたエコシステム形成を促進する。
・ 地域経済を牽引する中堅・中小企業の支援体制の構築
地方ブロックごとの広域的な支援の枠組みを通じて、新たに、地産外商に積極的に取り組む企業を選定し、各省庁の地方支分部局や民間支援機関によるプッシュ型の伴走支援を重点的に行う体制を構築する。
・ 再生可能エネルギーを活用した地域 GX イノベーションモデルの創出地域における脱炭素と課題解決の同時実現を図る脱炭素先行地域の取組を推進し、全国への普遍化につなげるとともに、ペロブスカイト太陽電池等の新たな技術の地域への実装を進める。
・ 産官学共創に向けた拠点の形成
地方におけるオープンイノベーションの促進や産官学連携の更なる強化のため、従来のイノベーション拠点整備の取組を強化する。地方大学 ・大学共同利用機関等に先端研究設備等の共用拠点を整備しネットワークを構築するとともに、地方大学や国立研究開発法人等の産官学の連携拠点を強化する。
・ スタートアップ拠点都市の拡大
地方において、スタートアップを一層生み出していくため、スタートアップ・エコシステム拠点都市を、これまでの大都市圏での成果を普遍化し、地方都市にも拡大する。その際、これら拠点都市において、地域の産業や大学等の研究特性を活かした分野・領域の重点化、オープンイノベーションや公共調達の促進、核となる組織・人材の育成・確保等の取組を強化する。
(3)人や企業の地方分散
○ 政府関人機関の移転 ○ 本社機能の地方分散
○ 関人人口の量的拡大・質的向上、副業・兼業の推進等について政策を提示。
【政策例】
・ 政府関係機関や本社機能の地方分散
政府関係機関の地方移転について、既に移転した機関の評価や移転に関する様々な課題等を検証し、地方からの提案も踏まえ順次結論を出す。本社機能の地方分散について、地方拠点強化税制の更なる活用促進や活用実績の分析等を踏まえた見直しを検討する。
・ 関係人口の量的拡大、質的向上
関係人口の可視化のため、ふるさと住民登録制度を創設する。また、地域との関わり方の度合いに応じて関係人口の類型化を行い、それぞれの類型に応じて、二地域居住等の推進や若者・女性の地域交流の促進、地域と関係人口をマッチングする中間支援組織の育成、ふるさと納税の活用等の施策を展開する。
・ 都市部人材の地方での活用促進、副業・兼業の推進
自らの能力やスキルを活用して地域貢献を行う意欲のある都市部の人材が、地域の企業で活躍できるよう、REVICareer (レビキャリ)やプロフェッショナル人材事業等の地方企業とのマッチング事業において、民間データベースとの双方向の活用のあり方を含めた事業間連携や副業・兼業人材の活用を進める。また、地方公共団体や地域金融機関、JA 等において、希望する職員の副業・兼業が可能となるよう、許可基準の弾力化や就業規則の改定を促進することを含め必要な環境整備を進める。
・ 事業承継の担い手となる人材の確保
地方が有する優れた技術や人材の喪失を防ぎ、地域の経済基盤を維持するため、各都道府県に設置した事業承継・引継ぎ支援センターの体制強化に加え、新たに市町村による人材マッチング支援の取組や地域一体での後継者人材の確保・育成等を後押しする。
(4)新時代のインフラ整備と AI・デジタルなどの新技術の徹底活用
○ GX・DX 時代の新たな産業集積に向けたインフラ整備
○ AI・デジタルなどの新技術の社会実装等
○ AI ・デジタルなどの新技術の利活用に向けた基盤整備 等について政策を提示。
【政策例】
・ ワット・ビット連携の推進
AI・デジタル技術の浸透に伴う DX 進展に対応するため、オール光ネットワークの実装を進めつつ、電力と通信基盤を整合的・計画的に整備し、電力と通信の効果的な連携 (ワット・ビット連携)により、データセンターの地方分散等を推進する。
・ GX 産業立地の推進
半導体やデータセンターなど、脱炭素電力の利用によって付加価値が生まれる製品・サービスを生み出す新たな産業集積の形成やコンビナートの再生に向けて、脱炭素電力が豊富な地域等に投資を集中的に呼び込む(GX 産業立地)ための事業環境整備を行う。あわせて、新たに開始する産業用地マッチング事業を通じた未利用産業用地の活用など、国内投資拡大に向けた産業用地確保促進策を強化する。
・ デジタルライフラインの全国整備
自動運転・ドローン・AI 技術等の社会実装を地方でこそ加速すべく、事業化の前倒しに向けた取組を集中的に支援するとともに、自動運転サービス支援道、ドローン航路、インフラ管理 DX 等の早期実施プロジェクトの成果も踏まえ、全国展開を加速する。
・ ドローンや自動配送ロボットを活用した生活必需品の物流
遠隔監視・操作が可能なドローンや自動配送ロボットの社会実装を進め、地方のラストワンマイル配送などの物流網維持を図る。ドローンは、運航管理システムの導入やエリア単位でのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)、多数機同時運航の普及拡大に向けた取組を進める。自動配送ロボットは、低速・小型の実装サービスを多地域で展開するとともに、より配送能力の高いロボットの地域
実証や制度整備の検討を行い、全国展開への必要な措置を講じる。
・ スマート農林水産業
農林水産業の生産性の向上や環境負荷の低減に繋げるため、農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化に加え、気象や市況情報、生育予測プログラム等の多様なAPIを活用したアプリやサービスの開発や、衛星情報とAI技術を利用した高度な管理や出荷手法等の導入、リモート監視やリモート操作を活用した労働力の外部化・無人化等を進める。また、こうした技術に適する自動収穫機で収穫しやすい品種への転換をはじめとする新たな生産方式の導入など、革新的な技術の効果を高める取組を進める。
・ AI 時代のデジタル人材育成
AI ・デジタル技術の活用による地域の社会課題解決の担い手となるデジタル人材の育成・確保を強化する。大学・高等専門学校と産業界との連携や、独創的なアイデアや技術を持つ若手トップデジタル人材の輩出プログラムを強化する。
(5)広域リージョン連携
○ 都道府県域を超える広域リージョン連携の推進
○ 広域連携でのインフラ管理 等について政策を提示。
【政策例】
・ 広域リージョン連携の推進
都道府県域・市町村域を超えた広域単位で、地方公共団体と企業や大学、研究機関等の多様な主体が連携して産業政策、観光、インフラ整備等に取り組む「広域リージョン」が、自ら策定するビジョンに基づき実施するプロジェクトを省庁横断的に支援する。暮らしに必要なサービスが持続的に提供される「地域生活圏」の取組を面で繋いでいくため、既存の圏域を超える広域的なプロジェクトを後押しする枠組みを、ハード・ソフト両面から一括支援する。