地域活性学会「SDGsを活かす地域づくり研究部会」が出版!

白井信雄

「SDGsを活かす地域づくり-あるべき姿とコーディネイターの役割」が出版されました。執筆者は、持続可能な地域づくり・関連政策を専門に研究されている白井信雄先生(武蔵野大学)とJK記事「人生の転機となった大学院入学」を寄稿いただきました大和田順子先生(同志社大学大学院)と「脳梗塞で右半身麻痺から博士号取得、迷ったら前へ」を寄稿いただいた奥山睦先生(静岡大学大学院)の3名です。白井先生より本の紹介をいただきました(斉藤)。

http://www.koyoshobo.co.jp/book/b601032.html

SDGsはもやもやする

地域活性学会に設置した「SDGsを活かす地域づくり研究部会」の検討成果を書籍にまとめました。みなさんは、地域活性化に取り組む立場から、「SDGsはもやもやする」と感じていませんか。実際に、SDGsの内容は(世界的な課題をとりあげているが)縮小段階にある日本の地域課題に対応してない、SDGsを名乗ってもこれまでの取組を正当化するだけでは何も変わらない、そもそも持続可能な社会の考え方が地域主体に共有されておらず、地域の共通言語になりにくい、などの不十分な点があります。しかし、SDGsが世界及び日本の取組に影響力を持っていることは確かです。よくわからないままに傍観するのではなく、SDGsの特徴や重要な理念を理解して、地域活性化のための道具として、上手く使っていきませんか。SDGsには、これまでの持続可能な発展に関する人類の経験と知恵が盛り込まれています。

持続可能な発展の先導役となる

本書の主な内容として、3点を示します。第1に、本書では、SDGsを活かす地域づくりのあり方について、「11の原則」を示しています。この原則の中に示した重要な点の1つが、農山漁村や中小企業がSDGsを上手くつかって、取組みを活性化し、持続可能な発展の先導役となることです。農山漁村地域や地域に密着した中小企業等(商店街、工務店、地域交通等)は本来、公益性が高い存在であり、その活性化が地域あるいは国全体の公益性を高めることになります。SDGsというと投資家の動きに対応する大企業の動きに中小企業が追随することになりがちですが、主従関係から解放されて、能動的に取組み、ボトムアップの動きを強めましょう。

持続可能な地域づくりコーディネイター

第2に、地方のまちむらにおける実践を進めるための「持続可能な地域づくりコーディネイター」について、具体像を示しています。SDGsで示されているような問題分野は「連環」の関係にあること、その「根幹」の問題を捉えることが必要です。フレーム(めがね)を地域に持ち込み、関係主体の学びを促し、目標を共有し、連携や分担を調整するコーディネイターが必要になります。特に、地域に対する熱い思い、寄り添う姿勢、地道な積み重ねを厭わない気持ち、ボランティア精神の重要性を強調したいところです。

SDGsを活かす地域づくりのための実践事例

第3に、SDGsを活かす地域づくりのための実践事例と手法を、具体的に紹介しています。実践事例としては、宮崎県高千穂郷・椎葉山、宮城県大崎地域、北九州市小倉の魚町商店街、福島県浪江町の鈴木酒造店、大田区の玉川パルプ、文京区のマイネム、埼玉県秩父村のバスセンター、和歌山電鉄貴志川線、岡山市のミナモト建築工房、北海道下川町、山梨県小管村、福島県いわき市及び浜通りをとりあげています。手法としては、SDGs活用5つのステップ、コア技術とネットワークを活かしたコーディネイト、SDGs未来都市の成立・発展の5つのフェーズ、マイプロジェクトシート・Golden Circle・ビジネスモデルキャンパスを使ったトレーニング、P2M(プログラム・プロジェクトマネジメント)を紹介しています。

アクション・リサーチを重視する研究者・教育者が執筆

本書の執筆者は、実践の現場に身を置くアクション・リサーチを重視する研究者・教育者であり、実践者そのものです。理論や手法、分析的なことも書いていますが、現場に携わる者だからこそ見えている現場知が集約されていることに本書の特徴があります。SDGsに関心はあるが、SDGsへの取組み方がわからず、“もやもや”としている地域の行政関係者、企業、そしてNPO等の方々はもちろんのこと、既にSDGsに取組んでいるが、SDGsウオッシュと言われるのではないかと自信がない方にも読んでいただき、取組みのステップアップ、ブラッシュアップに使っていただければと願っています。

共著者:大和田順子 人生の転機となった大学院入学 https://chiiki-kassei-jk.com/archives/2430

共著者:奧山睦 脳梗塞で右半身麻痺から博士号取得、迷ったら前へ https://chiiki-kassei-jk.com/archives/2744

Writer:白井信雄(武蔵野大学)